血液検査の採血に注意しよう
人間ドックや健康診断で、一度採血したのに、もう一度採血を頼まれたことがある人がいるはずだ。
検査項目が多い場合、看護師か検査技師がスピッツ(採血管:血液をわけて入れる試験管状のもの)の本数を間違えて、1本足りなかったということが時々ある。
病院・施設により違うが、生化学、決算(貧血検査)、血液沈渣、その他で4本とることもある。
血液検査の分析装置は、貧血検査項目とか生化学やHbA1c(糖代謝)検査とかで、血液を別々に装置に設定しなければならないためだ。(高性能の機械ではその限りではないかもしれない)
採血をした時の手際の問題で、血液が”溶血”して検査できないというケースもある。
溶血とは血液中の赤血球が壊れてヘモグロビンが血清中に流出してしまうことで、溶血が起こると一部の検査項目が正常に測定できなくなる。
採血をした看護師の手際の悪さがほとんどだが、検査技師が検体を乱暴に扱った場合にも起こる。
また、血液が凝固して採り直しすることもある。
これは、血管が細くて刺しにくい場合、血液だけでなく皮膚などの組織成分も一緒に吸引してしまった場合に起こる。
スピッツの中には、凝固を防ぐ薬品が入っているが、採血途中に話しかけられたりして手順を止めた場合などに、スピッツを振り忘れて薬品を混合できなかったときにも起こる。
採血で一番怖いのが、採血中あるいは直後に意識を失う人がいることらしい。
そういう人は、血をみるのが極度に怖い人とか貧血気味の人とかに多いということだ。
私も病院で一度遭遇したが、隣の人が採血中にいきなり私に寄りかかってきた。
看護婦さんたちが悲鳴を上げて集まってきた。
その後の対処は見事で、患者の体を支えベッドに移動し、意識の確認と血圧を測っていた。
血管を破るとかの事故はなかったようだ。
知り合いの看護師の体験では、採血が終わって歩いている途中に失神転倒した人もいる。
頭を打ったようで、念のためMRIで検査したとのことだ。
人間ドックの検査に行って、怪我をしたのではシャレにならない。
単純な採血もいろいろ注意することがあるのだ。
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