無駄な医療
日経新聞の書評で、挑戦的なタイトルの本を紹介していた。
「絶対に受けたくない無駄な医療」 日経BP 室井 一辰著
日本の医療は、薬漬けやレセプト目当ての検査など、医療費の増大に歯止めがかからないことが問題になっている。
知り合いの看護師の話では、90歳を超えた寝たきり老人に大掛かりな検査をしばしば行うらしい。
病気であることは間違いないのだが、もはや老衰で、治療をしても治る前に寿命が来るのは明白であってもだ。
それどころか、検査をすることにより身体に負担をかけてしまい、逆に寿命を縮めてしまう。
検査の途中に心配停止して、病院の責任問題になるので、必死で蘇生させてるらしい。
本書は、主にアメリカでの無駄な医療の報告書に基づいて書かれている。
一貫して、むやみに大掛かりな検査を行うのではなく、リスクグループと発見率と効果を勘案するように説いていると感じた。
最近話題になったHPV検査も若い女性には実施しないようにと報告されている。
日本人は、変なところで生真面目で、0.1%でも可能性があるなら検査を実施せよという雰囲気がある。
それを否定すると、「もし見逃していたら責任を取れるのか」とか言い出す始末だ。
生体検査、生理検査、血液検査など。どんな検査であっても多少なりとも「副作用」がある。
以前にも書いたがCT検査は放射線被爆の問題があり、胃カメラもカメラを挿入することで、食道や胃の内部を通るときに擦ったりして、全く無傷ではない。
検査を行う際には、リスクと効果の比率を勘案して、実施するかどうかが必要である。
医者の的確な判断が求められるが、日本の医者に可能だろうか?
疑問に思う。
ad
関連記事
-
-
医者の転職についてのお話—-(あくまで伝聞です)
日本は医療拠点の集約が進んでいないため、病院の数が無用に多く、患者の数に対してとは別に、”病院の数”
-
-
コリンエステラーゼ(CHE)で何がわかる?---肝機能障害の検査項目
肝機能に関する検査項目でコリンエステラーゼ(CHE)がある。 この検査項目単独で、何かの病気・
-
-
すべては9年前の人間ドックからはじまった・・・・・・
9年前。 はじめて人間ドックなるものを受けた。 最初は初めてのことに緊張し、いわれるがま
-
-
人間ドックの結果をがん保険や生命保険の審査に使うと面倒なことになる
人間ドックの結果を、保険会社の外交員にそそのかされて、保険の審査の資料として提出した人は多い。
-
-
人間ドックの結果を活用する気がない人
人間ドックを毎年受けていて、異常値の項目がたくさんあるのに治療しない人が多いらしい。 予防医学
-
-
クローン病と潰瘍性大腸炎
BSのディーライフで「ドクター・ハウス」というアメリカのテレビシリーズにはまっている。 医学用
-
-
抗ミトコンドリア抗体でなにがわかる?ーーー肝機能の検査項目
抗ミトコンドリア抗体とはどんな検査か? 主に原発性胆汁性肝硬変の診断に用いられる検査である。
-
-
LDHで何がわかる?—肝機能障害の検査項目
肝機能の検査項目でLDHがある。 体内でブドウ糖がエネルギーに変わるときに働く、血中の酵素であ
-
-
逆流性食道炎と胃食道逆流症
人間ドックのトリビア。 知人の人間ドックで、「逆流性食道炎」という所見がつ
-
-
総ビリルビンでなにがわかるーーー肝機能検査の検査項目
総ビリルビンは、ほぼすべての人間ドックの血液検査項目に含まれている。 古く
ad
- PREV
- ダイエット開始から6ヶ月
- NEXT
- HBs抗原・HBs抗体・HCV抗体と肝炎