意外と有用な便潜血による大腸がん検査
今回も人間ドックの検査に関する「トリビア」をひとつ。
ほとんどの人間ドックの検査項目に大腸がん検査、いわゆる検便検査が入っている。
検便なんて大したことがないと思われて、当日忘れてしまったり、採便をしない人もいる。
実は、便潜血を調べる大腸がん検査はかなり精度の高い検査で、実質数百円程度の経費で、大腸がんを含めた下部消火器系の疾患を発見できる。
一次スクリーニング(リスクグループの抽出)の検査としては、安価で有用な検査なのである。
単に便に血液が混じっているかどうかを検出するのだが、現在ほとんどが2回法を実施している。
時間を分けて2回採取し、2本とも便潜血陽性であれば、かなりの確率で何かしらの疾患が見つかる。
ただし、検体提出日の3~4日以内の採取でないと、精確な結果はできない。(1週間以上前のものは検査できない)
もちろん、「痔」がある人は常に出血しているので、必ず陽性反応がでる。
それを単なる「痔」による出血だと自分で決め付け、二次精密検査を受けようとしない人が多い。
出血の原因が「痔」によるものだけでなく、大腸潰瘍や大腸がんの可能性はやはり否定できない。
それは、早期発見を遅らせることになりかねない。
やはり無駄と思っていても、1度は全大腸内視鏡検査を実施して、はっきりさせたほうが安心だ。
「痔」による出血という結果が出ても、無駄ではない。
大腸がんは進行が遅く、5年間隔で実施しても早期発見は可能なので、数年間は便検査の結果を見てみないふりもできる。
それよりも「痔」を治しておいたほうが、大腸がん検査で無用に陽性反応がでないので、より安心である。(笑)
ad
関連記事
-
-
血液検査の採血に注意しよう
人間ドックや健康診断で、一度採血したのに、もう一度採血を頼まれたことがある人がいるはずだ。 &
-
-
コレステロール値の見方——LDL/HDL/TG(中性脂肪)
LDLコレステロール、HDLコレステロール、TG(中性脂肪)は正常か異常かを判断する基準が少しややこ
-
-
人間ドックの結果をがん保険や生命保険の審査に使うと面倒なことになる
人間ドックの結果を、保険会社の外交員にそそのかされて、保険の審査の資料として提出した人は多い。
-
-
人間ドックの結果を活用する気がない人
人間ドックを毎年受けていて、異常値の項目がたくさんあるのに治療しない人が多いらしい。 予防医学
-
-
LDHで何がわかる?—肝機能障害の検査項目
肝機能の検査項目でLDHがある。 体内でブドウ糖がエネルギーに変わるときに働く、血中の酵素であ
-
-
総ビリルビンでなにがわかるーーー肝機能検査の検査項目
総ビリルビンは、ほぼすべての人間ドックの血液検査項目に含まれている。 古く
-
-
ALPで何がわかる?---肝機能障害の検査項目
ほとんどの人間ドックの検査項目に含まれている血液の検査項目で、ALP(アルカリホスタファーゼ)がある
-
-
クローン病と潰瘍性大腸炎
BSのディーライフで「ドクター・ハウス」というアメリカのテレビシリーズにはまっている。 医学用
-
-
大腸ポリープが癌に変化することがある
知り合いの弟さんが、癌で手術をしたという。 話をしてくれた知り合いも、さっき聞いたばかりで、秘
-
-
抗ミトコンドリア抗体でなにがわかる?ーーー肝機能の検査項目
抗ミトコンドリア抗体とはどんな検査か? 主に原発性胆汁性肝硬変の診断に用いられる検査である。