人間ドックの結果をがん保険や生命保険の審査に使うと面倒なことになる

公開日: : がん保険, 人間ドック

人間ドックの結果を、保険会社の外交員にそそのかされて、保険の審査の資料として提出した人は多い。

時には委任状まで書かされて、保険外交員が強引に健診機関に出向いていくこともある。

 

個人情報の管理や漏洩について非常に厳しい時代である。

委任状だけで個人の医療情報を保険会社に開示するところはない。(もし開示しているなら担当者が無知なのか個人情報管理のシステムがないのだろう)

健康保険組合は、組合員自身の健康管理と早期発見による病気の予防のために、全額あるいは半分以上の補助をしている。

当然、人間ドックの結果も、健康保険組合の許可なしに受診者が勝手に他者に開示することは、ルール違反だといってよい。

 

人により一部自己負担を払う場合もあるが、人間ドックの料金はだいたい3万2千円~4万2千円くらいする。自分が支払った部分以外の残りは、全額を健保や会社が支払っているのである。

(定年退職した後、人間ドックを数千円だと思い込んで受診しようとして、補助のない本来の料金を聞いて驚く人は多い)

それを、個人的な生命保険やがん保険の審査に使用するのは、裏切り行為である。

 

健康保険組合は、健診機関に対しても目的外使用を含む第三者への個人情報開示を契約書を取り交わし、全面的に禁止しているはずだ。

ましてや、個人での保険審査のためのような「目的外使用」は、健保にばれたらまずいことだ。

 

同じような健診を、お金を払って受けるのは嫌だという人もいるだろう。

心配しなくても、保険会社は契約医療機関をいくつか持っている。

その内容も簡単で、問診と内科の聴診程度だ。それで異常がなければ審査はとおる。

しかも費用は、たいてい保険会社持ちで無料だ。

人間ドックの結果を提出する必要性は全くない。

 

人間ドックの結果を提出したときの問題はもうひとつある。

 

人間ドックでは、保険の審査で要求するより以上に検査項目が多く、使用している検査機器の精度が高いという問題だ。

検査項目が多いことはよいことだと思うかもしれないが、人間は20代ならいざしらず、40歳をこえると、病気レベルではないにしても1項目も異常値がないなどということは、ほとんどない。

それは病気になったということではなく、年齢を重ねた、ありていにいえば老けたというにすぎない。

検査項目が多いということは、その値に意味があるかどうかは別にして、異常値にひっかかる可能性がより大きくなるということだ。

 

また、最近の検査機器の精度は高く、「20年前に患った肺炎の痕」といった、なんでもないものも淡い影のような形で写ってしまう。

生真面目な読影医と健診機関なら「不明瞭陰影あり」とか「瘢痕あり」で、B判定(日常生活に支障なし)になる。

写っているものを、たとえ問題のない子供のころの肺炎の痕跡であろうと、「存在しない」として無視することは健診機関の正確さ・誠実さの建前上、あるいは社会的責任上できないのだ。

 

だが、医学的知識のない保険会社にしてみれば、過去に大病をしたことを黙っているのではないか、何か病気の兆候ではないかということになる。

その結果、加入審査は保留とされ、加入希望者に、病院で大病の結果でないこと・病気の兆候でないことを証明してもらってくださいということになる。

当然、その費用は加入希望者持ちだ。

 

不必要な結果を提出したばかりに、無用な詮索をされて手続きが面倒になる。

面倒をさけたければ、決して人間ドックの結果を保険会社に提出してはいけない。

面倒でも、保険加入用の健診をうけるべきだ。

経験者は語る。(^_^;;

 

ad

関連記事

no image

ZTT・TTTでなにがわかるーーー肝機能障害の検査項目

肝機能の血液検査で、ZTTとTTT(チモール)は人間ドックに含まれていることが多い。 &nbs

記事を読む

no image

無駄な医療

日経新聞の書評で、挑戦的なタイトルの本を紹介していた。 「絶対に受けたくない無駄な医療」 日経

記事を読む

no image

ALT(GPT)・AST(GOT)・γ-GT(γ-GTP) 肝機能のマーカー(指標)

私が長きに渡る面倒に巻き込まれた、肝機能の血液検査について、いろいろ調べてみた。  

記事を読む

no image

すべては9年前の人間ドックからはじまった・・・・・・

9年前。 はじめて人間ドックなるものを受けた。 最初は初めてのことに緊張し、いわれるがま

記事を読む

no image

ダイエット開始から3ヶ月

加糖された缶コーヒーからブラックコーヒーに変え、昼休みの散歩を始めて3ヶ月がたったころ。 体重

記事を読む

no image

意外と有用な便潜血による大腸がん検査

今回も人間ドックの検査に関する「トリビア」をひとつ。   ほとんどの人間ドック

記事を読む

no image

eGFRで腎機能低下を知る

最近、テレビの健康・医療番組で慢性腎臓病(CKD)について特集されることが多い。 その指標とし

記事を読む

no image

LDHで何がわかる?—肝機能障害の検査項目

肝機能の検査項目でLDHがある。 体内でブドウ糖がエネルギーに変わるときに働く、血中の酵素であ

記事を読む

no image

健康な胃腸にもポリープはできる??

この記事の内容は、看護師をしている知人からのまた聞きなので、本当かどうかの確証はないことをはじめに断

記事を読む

no image

胸部CT検査と放射線と喫煙と

私の肝機能障害とダイエットには関係ないが、私が人間ドックについて調べた結果、「へぇー」と思った知識を

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ad

no image
1年経過後の再検査----「体質」のせい!?

「肝臓専門医」に3度目の再検査に行った。 いわれた時期よりも遅く

no image
コレステロール値の見方——LDL/HDL/TG(中性脂肪)

LDLコレステロール、HDLコレステロール、TG(中性脂肪)は正常か異

no image
医者の転職についてのお話—-(あくまで伝聞です)

日本は医療拠点の集約が進んでいないため、病院の数が無用に多く、患者の数

no image
また5カ月後の再検査ーーー完全にメタボ患者扱いされている

「肝臓専門医」に2度目の再検査に行った。 4ヶ月後と言われていた

no image
再びダイエット、4ヶ月後再検査

「肝臓専門医」に通院し、再びダイエットすることになった。 &nb

→もっと見る

PAGE TOP ↑