コレステロール値の見方——LDL/HDL/TG(中性脂肪)
LDLコレステロール、HDLコレステロール、TG(中性脂肪)は正常か異常かを判断する基準が少しややこしい。
最近では、LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれることが多く、テレビの健康番組ではもっぱら「悪玉コレステロール」という名称を使用している。
LDLコレステロールは、余剰なコレステロールを血管壁に付着させて動脈硬化を引き起こす原因になる。
それに対して、HDLコレステロールはその反対の作用を持っていて、余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをする。それゆえ「善玉コレステロール」と呼ばれることが多い。
以前は、LDLとHDLコレステロールを合わせた「総コレステロール」の値が高いと、脂質異常症という判定がされていた。
しかし、総コレステロールのうち、「善玉コレステロール」の比率が高ければ、動脈硬化の可能性はまだ低いので、最近は総コレステロールのみでの判定はされなくなっている。
LDL(悪玉)が少し高くてもHDL(善玉)が同じくらい高ければ、作用と反作用(?)のバランスがとれているので、まだ正常範囲にはとどまっていると考えてよい。
しかし、LDLコレステロール(悪玉)が正常範囲内でも、HDLコレステロール(善玉)が低い値の場合、何らかの原因でバランスがくずれているので、再検査をして確認した方がよい。
TG(中性脂肪)は、コレステロールと同じ「脂質」の項目のひとつである。
中性脂肪は身体のエネルギー源であり、体内に貯蔵される必要不可欠な要素だ。
しかし、それが過剰に体内に蓄積されると肝機能の低下を引き起こしたり、「善玉コレステロール」が減少していく原因にもなる。
中性脂肪が単独で少し高い場合で、人間ドックがあるのに検査までの数日間に宴会などで連日暴飲暴食したという人が時々存在する。(年末近くは結構多いらしい)
その場合は短期的に影響が残っている場合も考えられるので、食事と酒を控えて1カ月以内に検査すれば、正常値に戻ることがある。
それでも中性脂肪が下がらなければ、脂質異常症の可能性が高いので、継続的な経過観察が必要になる。
基準値を大幅に上回っている場合は、すぐに治療を開始した方がよい。
性別と年齢により基準値が少し違うが、150mg/dl以上だと脂質異常症と判定されることが多い。
(実際は判定をする医者が、血糖値やコレステロールなど生活習慣病を総合判断して要治療とすることがある)
ほとんどの場合、血圧や血糖など他の生活習慣病検査項目も異常値になっているので、合わせて治療すべきである。
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